北海道中央バスファンクラブ 制作・著作 KSK-PROJECT
中央バス廃線倶楽部 |
廃止された中央バス路線の思い出日記
しろいし歴史街道東75白石線(札幌駅前〜月寒駅前〜白石駅前) (コメント) 現在はJR白石駅から白石・中の島通りを南下しているが、昔は1本西側の連隊道路(道々白石停車場線)と呼ばれるセマ〜イ小路を走っていた。 いまでは単なる"ウラ通り"だが、この通りこそ白石〜月寒を結ぶかつての"大動脈"だったのだ。"白石停車場線"という呼び名に、メインストリート時代の素敵な響きが感じられる。 ルートは白石駅から国道12号線に出て、再び白石自動車学校前のセマい路地に入り、車掌時代はひがしきたどおりと呼ばれていた東北通り(1条線)へ抜けていた。 沿線にはS46年8月まで朝鮮学校[*註1]があり、国境を越えた友情を深めようという意の『フレンド公園』(S43.9設置)も近くに残存する。 学校下の掘割にはSLの煙で煤かけた国鉄旧千歳線の陸橋トンネル[*註2]もあったが、千歳線の切り替えで現在はサイクリングロードに転用され『南郷橋』の停名だけがその証しを今に伝えている。 ★[*註1] 正式には北海道朝鮮初中級学校。S36.9在日朝鮮人の寄付金5千万円で開校。隣には寄宿舎もあったが児童数の増加で教室が足りなくなっため、S46.10平岡の現在地に移転し、跡地にはS52.3南白石小が開校した。いまも残る校庭のポプラはS37年春、第一期卒業生が植えたものという。 |
エリア激戦区『2条線』東61月寒2条線(札幌駅前〜月寒2条線経由〜中央通10丁目) (コメント) 多くのバスが競合する札幌市内は、S30年代から郊外住宅地の発展とともに路線が急速に発展し、とりわけ豊平、平岸、南郷地区は激しい争奪戦となった。このため、1964(S39)年に札幌陸運局(現・北海道運輸局)の調停により、現在のような営業エリアが確定した。当時2条線には市営バス[*註1]、サブロク(国道36号線)には定鉄バス[*註2]も走っており、3業者が三つ巴に入り乱れていたものだった。 そんな活況を呈していた豊平界隈の黄金時代もはるか昔に遠ざかり、いまでは定鉄豊平駅のプラットホーム跡が残るじょうてつ本社[*註3]と、その向かいにひっそりと佇む市電豊平線の発着スペース跡に昔日の栄華がしのばれる.... ★[*註1] 2条線の行啓通以北には市営バスが乗り入れ、東園小学校前、豊平製鋼前、豊平2条8丁目、豊平2条6丁目、豊平2条4丁目、豊平劇場の各停留所があった。 |
知られざる観光路線東87有明線(札幌ターミナル〜有明小学校〜鱒見の滝) (コメント) ところがS40年代まではわりと有名な観光名所(?)だったのか、S49年までは夏場(5〜10月)だけ札幌都心部から直行バスが出ていた。 当時、有明(ありあけ)の「下三滝橋」より先はまだ砂利道で、クルマさえめったに走らない峠道だった。終点の「鱒見の滝」は御料線(通称・平岡通り)から滝口に向かって500mほど入った先にあったが、現在はすずらん公園内の遊歩道として整備され一般車両は乗り入れ禁止となっている。 現在は福住発着に短縮され札幌市内線の一部と化しているが、当時は石狩線や千歳線に匹敵する"郊外線"の趣きがあり、札幌ターミナル構内の「4番のりば」から発車していた。[*註2] 当時のターミナル構内には改札があり、キップを買わないと通れなかったのも、今はなつかしき思い出話である.... ★[*註1] 昔この辺りはマスの"千石場所"、下流の鱒見(ますみ)という地名にその名残りをとどめている。 |
さっぽろの奥座敷*厚別の滝南103滝野線(札幌ターミナル〜西11丁目経由〜厚別の滝) (コメント) この方面のバスはもともと西11丁目経由だったが、1962(S37)年ごろ真駒内経由が開設され、徐々にそちらにシフトしていった。というのも、11丁目線は市営・定鉄バスとルートの大半がダブっており、中央バス空沼線(旧石山線)が1948(S23)年に開設されてから、ダイヤ改正やルート変更のたびにモメていた激戦地。中央バスの割り込む余地もほとんどなかったのだろう.... 南6条通りも昔は南へ向かうバスの大動脈で「南6西4」バス停はススキノ0番地(昔はスゴかった…)のまん前にあった。現在は定鉄、道南バスとも南4条線にシフトし、戦前から市バスがあの細道を円山南町(南6西24付近)まで走っていたのも…ウソのようなホントの話である。 札幌〜石山陸橋間が市営、定鉄の猛反対で『準急』扱いだったのも災いしたのだろうか、この路線を最後に中央バスは石山通りから完全撤退した。 当時の終点は「厚別(あしりべつ)の滝」止まりだったが、昔はここから滝口へ下る100段超えのナガ〜い階段があり、観光客はここで下車して滝見物をしていた[*註1]。すずらん公園のオープンで階段は閉鎖されてしまったが、近くにひなびた商店が一軒あるのも、かつてここが"厚別の滝"へ向かう入口だった証しなのである[*註2]。 ★[*註1] 厚別(アシリベツ)の滝はかつて札幌市民のいこいの場だったが、現在はすずらん公園渓流口側からしか入れず、マイカーだと駐車料金をとられるうえ駐車場から1kmほど歩かねばならない。昔は滝のそばに釣り堀もあり、滝の裏側や河原でチビッコが遊んでいたものだが、現在の滝周辺は立入禁止となっている。 |