北海道中央バスファンクラブ 制作・著作 KSK-PROJECT

中央バス廃線倶楽部

廃止された中央バス路線の思い出日記

千歳近郊篇 その1

★印:レア度

洞爺湖温泉街を走った中央バス

洞爺湖温泉線(千歳空港〜洞爺湖温泉)
昭和61年6月1日開業〜平成7年10月15日廃止
★☆☆☆☆

《停車停留所》 千歳空港 千歳駅前 錦町十字街 支笏湖畔ターミナル モーラップ シシャモナイ 美笛 大滝 優徳 北湯沢 久保内 滝の町 昭和新山登山口 東町 元町 中央通(千歳行きのみ) 桜町 洞爺湖温泉 ※6〜10月のみ運行 (平成2年6月現在)

(コメント)
 もともと千歳〜洞爺湖温泉を結ぶ直通バスはなかった。
 千歳は中央バスの路線エリア、洞爺湖温泉は道南バスのエリアであるため、直通便の運行が難しかったからじゃないだろうか。

 だが、レジャーブームが高まりつつあった1986(S61)年、洞爺湖温泉観光協会からの陳情もあり、この路線は 道南バスとの共同運行 という形で開設された。

 バスはテレビ・トイレ・ビデオ装備の 豪華ハイデッカー で運行されていたが、思いのほか利用が芳しくなかったようで、およそ10年で幕を閉じた。
 そういえば、新千歳空港で偶然見かけたこの「豪華ハイデッカー」に乗客がひとりも乗っていなかったコトも....

 終点は道南バスの洞爺湖温泉バスターミナルだが、この地上4階、地下2階建てのビルディングは同社が約10億円かけ、S45年5月に日帰りレジャー施設 洞爺サマーランド の本館として華々しくオープンしたもののわずか2年で閉鎖、同社の倒産に追い討ちをかけた"いわくつき"の物件。ここから長万部経由で函館へ向かうバスも道南と函館バスの共同運行で運行されており、この路線に乗り継ぐこともできた。

 この路線の廃止によって中央バスは洞爺湖温泉街から撤退してしまったが、同時に開設された道南バスの『オロフレ峠経由』の方はいまも健在である。

 ところで、中央バスの千歳以遠の路線エリア(独占運行できる領域)は一体どこまでなのだろう?

 ....と考えると結論は難しいが、ウトナイ湖(千歳〜苫小牧間)あたりが妥当じゃないだろうか。1970(S45)年まで「千歳ターミナル〜ウトナイ遊園地」というバスも走っていた。
 支笏湖周辺でいうと道南バスは昔から支笏湖の西端「美笛川口」まで、中央バスは支笏湖の東端「モーラップ」まで運行していたため、境界も支笏湖周辺と考えられる。(ま、どうでもいいコトだが....)

懐かしの洞爺湖温泉線ダイヤ


支笏湖に散ったコケ路線

支笏湖・苔の洞門線(支笏湖ターミナル〜苔の洞門)
平成9年7月21日開業〜平成14年10月14日休止
★★☆☆☆

《停車停留所》 支笏湖ターミナル 滝の上 スキー場入口 モーラップ 苔の洞門 ※7〜9月まで運行 (平成9年7月現在)

(コメント)
 その昔、キャンプのメッカだった千歳の奥座敷である幽境…支笏湖。

 かつてヤングやチビッ子に人気を博したモーラップ、ポロピナイ、オコタン、美笛の 4大キャンプ場 も「オコタン」と「ポロピナイ」(蛇塚地区)の閉鎖でずいぶんサビしくなった...

 その昔、ラブリーズ[*註1]の「紅すずらんの伝説」の舞台にもなった場所だが、よもや憶えている人もほとんどいないだろう....

 モーラップにはS34年から昭和末期まで中央バスのモーラップ線(支笏湖畔ターミナル〜モーラップ)がレジャーに勤しむ若いキャンパーらを夏休み期間限定で運んでいたが、これはその路線を約8km先の苔の洞門[*註2]まで単に延長、復活させた路線である。

 終点である苔の洞門は、樽前山の旧シシャモナイ登山口近くにあり、かつては「シシャモナイ」(支寒内)の名称で千歳からニセコ、洞爺湖畔へ向かうバス、昭和30〜40年代には奥支笏湖へ向かう支笏湖観光バスの「支笏湖畔〜オコタン線」[*註3]も停車していたが、この路線だけ駐車場ワキの一角から出ており、夏場(6〜10月)だけの運行にしては乗車率もわりとよかったように思う。洞門内もけっこう観光客で賑わっていた。

 しかし、平成13年6月に発生した 岩盤崩落 で洞門内が立入禁止となり、バスは翌年の運行を最後に10年以上も休止状態のままである....

★[*註1] S53年6月に「紅すずらんの伝説」でデビューした女性アイドルデュオ。支笏湖に群生するという紅すずらんの物語をモチーフにした曲で、S53年の湖水まつりに師匠の平尾昌晃とともに来道、デビュー曲発表会を行った。
★[*註2] 苔の洞門(コケのどうもん)は、風不死岳からシシャモナイ沢に流れ落ちる雨水の浸食作用で掘り込まれた幅約2m、高さ約10mの沢が続く観光名所。切り立った岩壁にエビゴケ、ハネゴケなどが絨毯のように群生する自然の芸術。支笏湖観光のニューフェイスとして昭和40年頃から売り出され、当初は風不死岳の裏手のカラ沢まで約3kmにわたって"緑の回廊"が続いていたが、S43年6月の十勝沖地震による岩崩れや、S53年に発生した樽前山の火山活動でこれまで何度も立入禁止になっている。
★[*註3] 支笏湖観光バスは、昭和35年北炭から分社し支笏湖で観光遊覧船事業をしていた三井観光開発グループの支笏湖観光運輸(本社・千歳)がS39年2月12日から営業開始した夕張鉄道系のバス会社。札幌市白石区菊水9条3丁目にバス営業所を置き、札幌〜支笏湖畔間などの路線をもっていたが、S52年10月の運行を最後にバス事業から撤退。ちなみにS45年頃の支笏湖畔〜オコタン線は、湖畔ターミナル〜丸山〜モーラップ〜支寒内(シシャモナイ)〜美笛(川口)〜オコタン荘というルートを運賃190円、所要1時間5分で結び、5〜10月だけ1日3往復ほど運行していた。


ナゾの空港循環バス

空港内循環バス(NEWS前〜新千歳空港〜NEWS前)
平成4年12月15日申請〜平成10年4月1日廃止
★★★★☆

《停車停留所》 NEWS前 エアカーゴ前 新千歳空港国際線前 新千歳空港 NEWS前 (平成7年9月現在)

(コメント)
 紙の携帯時刻表には未掲載だったが、かつて新千歳空港で頻繁に見かけた循環バス。中央バスと北都交通の共同運行で、中央バスは通常の路線バス、北都交通は元ランプバスのような白とブルーのツートンカラーの妙な車両で運行していた。

 始発となるNEWS(ニューズ)はJR南千歳駅の国道を挟んで向かい側にあった三セクのショッピングモール。平成7年3月に道などが出資し、旧千歳空港ターミナルビルに鳴り物入りでオープン。おもにジーンズなど輸入衣料や雑貨、アウトドアショップなどが入っていたが経営悪化で3年あまりで閉鎖…。アキ家同然だったビルは平成13年に解体され、跡地はグリーンベルトの残骸が点在する殺風景な更地と化している。[*註1]

 この路線は旧ターミナルビルの空港職員専用駐車場と新空港を結ぶ 特定路線[*註2] として開設されたが、NEWSのフタ明けで終点名を一新したものの、ショッピング目当ての乗客はあまり乗っていなかったもよう。大半の乗客が空港関係の駐車場利用者であった。

★[*註1] かつては南千歳(旧千歳空港)駅から36号線、駐車場、グリーンベルトをまたいでNEWSの入っていた旧空港ターミナルビルまで長大な連絡橋が通じ、旧空港時代はJRと空港をつなぐ乗換通路として使われていたが、現在は一部が歩道橋に転用されている。旧ターミナルビル駐車場跡地は、2014年から千歳基地航空祭シャトルバスの臨時のりばとして再利用されている。
★[*註2] 利用を新千歳空港施設従業員および航空機利用客に限る路線。札幌ドームシャトルバスや、かつての日航線(現・空港連絡バス)、東キャンプクロフォード線(札幌駅前〜真駒内基地)なども利用客を限定した特定路線。


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